生活保護受給中に障害年金を申請した実例|手続きの流れと自治体ごとの差

手続きの流れと、つまずきやすかった点

※この記事は筆者の居住自治体での実例に基づいています。障害年金申請や費用の扱い、支援体制は自治体によって異なるため、必ずご自身の自治体で確認してください。

生活保護を受給していると、障害年金の申請について「本当に申請できるのか」「保護費はどうなるのか」と不安を感じる人は少なくありません。制度上は可能とされていても、実際の手続きでは担当者の対応や自治体の体制によって、想定外に時間がかかることがあります。

この記事では、生活保護受給中に障害年金を申請した実体験をもとに、制度の前提と、実務上つまずきやすかった点を整理します。

生活保護と障害年金の関係

障害年金は、生活保護と併用できない制度ではありません。ただし、年金は収入として認定されるため、受給が決まるとその分だけ生活保護費は減額されます。この点だけを見ると「年金をもらうと損をする」と誤解されがちですが、実際にはそう単純ではありません。

障害年金を受給すると、その金額分は収入として認定され、生活保護費は減額されます。 ただし私の場合、年金を受給した分だけ保護費が調整された形であり、生活に使える全体の金額が減ることはありませんでした。

障害年金は保険制度に基づく権利であり、生活保護とは性質が異なります。保護費が調整されるとしても、年金を受け取ることで不利になるわけではありません。

申請の意思表示から始まる現実

私が障害年金の申請を考えたのは2016年でした。担当のケースワーカーに申請の意思を伝えたものの、当時の担当者は経験が浅く年金制度への理解も十分とは言えない状態でした。

制度としては申請可能であっても、実務を担う人の知識や判断によって、手続きが進まないことは現実に起こります。ここで重要なのは、「申請したい」と意思表示をしただけでは、自動的に話が進むわけではないという点です。

年金相談員がいる自治体と、そうでない自治体

私の住んでいた自治体には、生活保護受給者の年金申請をサポートする年金相談員がいました。相談員の役割は、書類の不足や間違いがないかの確認や、受診状況等証明書の取り寄せの補助、完成した書類の提出代行などです。

ただし、「病歴・就労状況等申立書」の作成そのものは、原則として本人が行います。相談員がいるからといって、すべてを任せられるわけではありません。この点は、事前に知っておいたほうがよいポイントです。

年金相談員への委任で対応してもらえた範囲(自治体差の例)

私の住んでいる自治体では、年金相談員に委任することで過去の通院歴に関する「受診状況等証明書」の取り寄せについても、実務を任せることができました。本人がすべての医療機関に個別に依頼する必要はなく、書類の不備がないかを含めて確認してもらえた点は、申請を進めるうえで大きな助けになりました。

また、仮に社会保険労務士に申請手続きを依頼した場合でも、その手数料を必要経費として認める、という説明がありました。これについても、制度として全国一律に保証されているものではなく、最終的には自治体の判断による扱いとされています。

実際、もし私の自治体に年金相談員がいなかったとしたら、社労士への依頼を検討していたと思います。申請手続きを一人で抱え込むことが現実的でない状況では、外部の専門職に頼るという選択肢も、十分に合理的だからです。重要なのは、「誰に依頼するか」よりも、その費用や支援の範囲が自分の自治体でどう扱われるのかを、事前に確認しておくことだと感じました。

このように、障害年金申請における支援の範囲や費用の扱いは、自治体によって差があります。申請を考える際には、「何が制度上可能か」だけでなく、「自分の自治体ではどこまで対応してもらえるのか」を早い段階で確認することが重要だと思います。

診断書料などの文書費の扱いについて(自治体判断の例)

私の住んでいる自治体では、障害年金申請に必要な診断書料などの文書費についても、生活保護の枠内で負担してもらえる扱いでした。診断書は申請に不可欠な書類であり、自己負担が難しい場合には、必要経費として認めるという判断がなされた形です。

ただし、これについても全国一律の運用ではなく、最終的な判断は自治体ごとに異なります。診断書料や文書費をどこまで公費で負担してもらえるかは、事前にケースワーカーや担当部署に確認しておく必要があります。制度上必要な手続きであっても、「申請者の自己負担」として扱う自治体がある可能性は否定できません。

障害年金申請では、書類作成そのものだけでなく、こうした付随的な費用が心理的・経済的な負担になることがあります。申請を検討する段階で、「書類の費用はどう扱われるのか」を確認しておくことも、現実的な準備の一つだと感じました。

申請を一時中断するという判断

申請を進める途中、担当ケースワーカーの対応の遅れや判断の先延ばしが重なって、手続きは長期間停滞しました。その時期は、家庭の事情としても重要な局面が重なっており、私は申請手続きを一時中断する判断をしました。

無理に進め続けることだけが正解ではなく、生活状況を優先する判断も結果的に合理的だったと感じています。

病歴・就労状況等申立書をどう整理したか

再び申請に向けて動き出した際に行ったのが、過去の病歴や生活状況を年表形式で整理する作業でした。Excelで簡単な年表を作り時系列に出来事を並べていきました。

「病歴・就労状況等申立書」は日本年金機構のサイトからExcel形式のものをダウンロードして、パソコンで入力をしました。こうした書類を手書きで仕上げなければならなかったら、断念していた可能性もあります。

パソコン入力ができても過去の出来事を振り返り詳細に記入していく作業は、精神的な負担が大きく、ひとりで進めるのは現実的ではありませんでした。私の場合、訪問看護を利用しており、看護師に加えて、精神保健福祉士の資格を持つ支援者が関わってくれていました。書類作成そのものを代行してもらうことはできませんが、気持ちが崩れそうになる場面での伴走や作業を続けるための環境調整という点で、大きな支えになりました。

障害年金の申立書は「文章力」よりも、「事実を継続して整理できるかどうか」が問われます。医療・福祉職による支援体制があるかどうかは、申請を進められるかどうかを左右する要素の一つだと感じています。

医療機関への依頼主体と、手続きが滞る理由

生活保護の枠内で診断書料などの文書費を負担してもらう場合、医療機関への依頼は原則としてケースワーカーを通して行われます。申請者本人が直接依頼を出すのではなく、自治体側が正式な依頼を行う形になるためです。

この仕組み上、ケースワーカーの対応が遅れると、その時点で手続き全体が止まってしまいます。私の場合も、担当ケースワーカーが対応を後回しにしがちだったため、診断書や受診状況等証明書の依頼がなかなか進まず、結果として申請全体が長期間滞ることになりました。

制度や書類そのものに問題があるというよりも、「誰がどの段階を担うのか」という役割分担が明確でないまま進むと、こうした停滞が起こりやすいと感じました。申請を進める際には、どの手続きが自治体側の担当になるのかを早めに確認し、進捗を定期的に確認することが重要です。

提出までにかかった期間

最終的に書類が年金事務所に提出されたのは、最初に申請の意思を示してから約1年後でした。時間がかかった主な理由は、書類準備そのものよりも、担当ケースワーカーの対応の遅れによるものでした。

この経験から、申請にはある程度の長期戦を覚悟し、どこで時間が止まりやすいのかを把握しておくことが重要だと感じました。

まとめ:障害年金申請は「根性論」ではない

生活保護受給中の障害年金申請は、制度を知っているかどうかだけでなく、実務の現実をどう受け止めるかが問われます。進める判断も、立ち止まる判断も、どちらも間違いではありません。

重要なのは、自分の生活と心身の状態を守りながら、制度をどう使うかを考えることです。申請は「我慢比べ」ではなく、現実的な判断の積み重ねだったと思います。

なお、障害年金の受給が決まると、生活保護制度上「障害者加算」が適用される場合があります。 私の場合も、障害年金の受給に伴い、障害者加算が認められました。

ただし、加算の有無や金額、適用条件は一律ではなく、障害の等級や世帯状況、自治体の判断によって異なります。障害年金を申請する際には、年金額だけでなく、生活保護上の加算がどう扱われるのかについても、事前に確認しておくことが重要です。

※この記事では、制度や手続きの流れを中心に整理しました。
障害年金を申請しようと思った背景や、その過程で感じた迷いについては、noteに別途まとめています。

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